壱岐のお土産
九州北部に浮かぶ離島・壱岐の島は一年間温暖で過ごしやすい気候です。島にはさまざまな作物が育てられており、地産地消で生活できるメリットがあります。その他にも、漁業や畜産業も盛んで完全自給自足ができる島とも評されます。
壱岐のお土産は色々ありますが、珍しいものでは「鬼凧(おんだこ)」でしょう。
鬼凧は島の唯一の伝統工芸品であり、魔除けの役割を持っています。
デザインは荒々しい顔をした武者の兜に鬼の生首が噛み付いたもの。
これだけ聞くととても怖い印象を受けますね。
その昔、壱岐には鬼がたくさん住んでいて悪さを働いていました。鬼の大将は悪毒王(あくどこお)と言います。(怖い)
そこで討伐に向かったのが、伝説の戦国武者・百合若大臣(ゆりわかだいじん)です。
百合若大臣は島の沖合から上陸を試みましたが、悪毒王の部下で兄弟鬼の太郎と二郎がそれを阻止しようとします。
鬼の兄弟は島の断崖から巨石を船上にいる、百合若大臣にぶつけようとしますが、百合若大臣は鬼以上の怪力の持ち主です。飛んできた岩を持っていた鉄の扇子で軽く跳ね返してしまします。
驚いた鬼たちは岩を放って一目散に逃げました。この岩は現在も黒崎半島に太郎礫・二郎礫として残っています。
壱岐に上陸した百合若大臣は他の鬼も成敗していよいよ鬼の総大将・悪毒王と決闘です。
迫ってくる悪毒王を百合若大臣は軽く払いのけ、一刀のもと首を斬り落としました。悪毒王の首は「無念無念」と呟くと、天まで昇り胴体と首を繋げる薬を取って帰ってきました。
しかし百合若大臣が鬼の胴体を隠していたため、復活することができません。
怒った悪毒王は百合若大臣の兜に噛み付くとバリバリと噛み砕いて少しずつ壊していきました。
兜が7重まで噛み砕かれた時、百合若大臣は鬼にこう言います、「俺の兜は14重あるのだ。まだまだ7重あるぞ。落ちよ!」。
観念した鬼の総大将・悪毒王はこの言葉でとうとう力尽きました。
百合若大臣は残った鬼に向かって「壱岐の島の枯れ木に花が咲いたときと、いり豆に芽が出たときに限って降りて来い。」と、勝どきをあげます。
これ以来、桃の節句の頃になると壱岐では鬼凧を揚げます。鬼たちは総大将の悪毒王が破れた姿が描かれた鬼凧を見て、怖じけずいてやってこないと言います。
鬼の首も逸話もおどろおどろしいですが、なぜだか納得する話ですね。
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